普段お酒を飲む方なら「蒸留酒」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
「蒸留酒」という言葉は聞いたことがあっても、実はあまりよく知らないという方も多いかと思います。
蒸留酒を簡単に説明すると、ダンディーな男性がおしゃれなバーで「バーボンをロックで」と注文しているアノお酒のことです。(適当な説明ですみません・・・)
そんなカッコよい大人が嗜む「蒸留酒」。あなたも「蒸留酒」について詳しくなって、「違いの分かる大人」になりましょう!
本記事では蒸留酒の基礎知識についてご紹介します。
- 蒸留酒とはどんなお酒なのか
- 蒸留酒の製法
- 代表的な蒸留酒
ほんの少しお酒に詳しくなって、今よりも少しカッコ良い自分になりましょう!
※「お酒に詳しい=カッコ良い」は筆者の偏見であること、ご承知おきくださいね(笑)。
まずはお酒全般の基礎知識を知りたい方は以下の記事もご覧ください!
蒸留酒とは
蒸留酒とは、醸造酒などのアルコールを含む液体を蒸留して作ったお酒です。
「蒸留」とは、2種類以上物質が混ざった液体からある特定の液体を取り出したいときに使う技術です。
(中学1年生くらいで習った内容ですね。)
お酒を例にすると、醸造酒には「アルコール」と「水」が含まれていますが、アルコールは78.3度で気体になり、水は100度で気体になります。
液体が気体になる温度 (沸点) の違いを利用して特定の液体を取りだすのが蒸留です。液体を熱して気体にしてあと、その気体を冷やすことで液体に戻します。
蒸留酒の歴史
蒸留そのものの技術は紀元前3,500年ごろからメソポタミアで花などを原料とした精油を造るために利用されていたようですが、紀元前1,300ごろにエジプトで造られたナツメヤシの蒸留酒が最古の蒸留酒だと考えられています。
8世紀になってアラブでアルコールの語源にもなった「アランビック」という銅製の蒸留器が発明され、ワインの蒸留が行われていたようです。
蒸留技術が確立されたのは12世紀になってからで、アラビアの錬金術師によって技術確立されました。
アラビアの錬金術師は造った蒸留酒をアクアヴィテ(生命の水)と呼び、病気を治す秘薬として飲んでいたそうです。
その後、このアクアヴィテが世界中に広がり、その土地ならではの原料を使った蒸留酒としてブランデー・ウイスキー・ウォッカなどが誕生しました。
ちなみに日本で最初に造られた蒸留酒は15世紀ごろに造られた泡盛です。
蒸留法の種類
醸造酒を蒸留して、より高アルコールのお酒を造る蒸留技術ですが、「単式蒸留」と「連続式蒸留」という2種類の蒸留法があります。
単式蒸留
最も古い蒸留法で、蒸留する度に原料(醪などのアルコール発酵した液体)を蒸留釜に入れ、一度だけ蒸溜を行う方法です。
一度の蒸留ではアルコール度数が低く、原料の風味を残すことが出来るのが特徴です。
ウイスキーの場合は原料の醪 (もろみ) がアルコール度数7度程度ですが、単式蒸留により20度程度にまでアルコール度数を上げることが出来ます。
単式蒸留を数回繰り返せば、原料の風味は薄くなりつつも、よりアルコール度数の高いお酒を造ることも出来ます。
ウイスキーは通常2~3回蒸留を行って、アルコール度数65~70度程度の原酒を造ります。
連続式蒸溜
19世紀に発明された蒸留法で、原料と蒸気を連続的に供給することで高濃度のアルコールを得ることが出来る方法です。
原料の風味はあまり残さずに、効率よくアルコール度数の高いお酒を造ることが出来るのが特徴です。
一度の連続蒸留で90度前後と非常に高いアルコール溶液を得ることができるので、大量生産に適しています。
ちなみに、アルコール度数が最も高いことで有名なポーランドのウォッカ 「スピリタス」は、なんとアルコール度数96度ですが、蒸留を70回以上繰り返すことでアルコール度数をギリギリまで引き上げています。
代表的な蒸留酒の種類
代表的な蒸留酒を製法と原料で分類しました。
単式蒸留では原料の風味が強い個性のあるお酒が造られ、連続式蒸溜ではクリアなお酒が造られます。
(*1) 酒類によって様々な穀物・芋類が原料として使われ、トウモロコシ・大麦・小麦・米・ジャガイモ・サツマイモなどが多く用いられます。例えば、焼酎と一言で言っても、芋由来の焼酎もあれば、米由来の焼酎もあるといった感じです。
(*2) 焼酎やラムには単式蒸留で造られる原料の風味が豊かなお酒と連続式蒸溜で造られる風味がクリアなお酒があります。
(*3) ジンは製法にもよりますが通常は連続式蒸留と単式蒸留を併用して造られます。
(*4) ウォッカは連続式蒸溜で造ることが多いですが、単式蒸留で造る場合もあります。
蒸留酒の良いところ
蒸留酒ならではの良い点として以下の3つが挙げられます。
- 太りにくいお酒である (カロリーが低い / 糖質がほとんど含まれていない)
- 保存が効く
- 醸造酒に比べて酔いにくい (?)
太りにくいお酒である (カロリーが低い / 糖質がほとんど含まれていない)
厚生労働省が推奨する「節度ある適度な飲酒量」は、1日平均純アルコールで約20g程度と言われています。
お酒の種類ごとに1日当たりの目安量とカロリー・糖質を以下の表にまとめました。
お酒の種類 | 1日あたりの目安量 (mL) | アルコール度数 (%) | アルコール量 (g) | カロリー (kcal) | 糖質 |
---|---|---|---|---|---|
ブランデー | 60 mL | 40 % | 19.1 g | 134 kcal | 0.0 g |
ウイスキー | 60 mL | 40 % | 19.1 g | 134 kcal | 0.0 g |
ラム | 60 mL | 40.5 % | 19.3 g | 135 kcal | 0.1 g |
ウォッカ | 60 mL | 40.4 % | 19.3 g | 135 kcal | 0.0 g |
焼酎 (単式蒸留) | 100 mL | 25 % | 19.9 g | 140 kcal | 0.0 g |
ビール (醸造酒) | 500 mL | 4.6 % | 18.6 g | 197 kcal | 15.6 g |
日本酒 (醸造酒) | 180 mL | 15.4 % | 22.1 g | 183 kcal | 6.5 g |
白ワイン (醸造酒) | 200 mL | 11.4 % | 18.2 g | 150 kcal | 4.0 g |
原料に含まれている糖質の一部が残る醸造酒 (ビール・日本酒・ワインなど)と違い、蒸留酒には糖質がほとんど含まれていません。
蒸留酒にもアルコール由来のカロリーがありますが、糖質が含まれていないので醸造酒は醸造酒と比べるとカロリーが低いのも特徴です。
ただし、ジュースなどで割ってしまえば、低カロリー・低糖質の良さが消えてしまうので注意してください。
蒸留酒は太りにくいお酒とは言え、飲みすぎると太るのは間違いないので適量を心掛けましょう!
保存が効く
蒸留酒は糖質が含まれていないかつアルコール度数が高く雑菌が繁殖しにくいので、賞味期限が設定されていません。
賞味期限が設定されていないとはいえ開栓したら出来るだけ早く飲むことをオススメしますが、未開栓の場合は適切に保存していれば数十年前のお酒でも美味しく飲むことが出来ます。
ビールの場合は製造後9ヶ月間、日本酒の場合は長くても12ヶ月程度に設定されていますので、蒸留酒が非常に長く保存できることが分かるかと思います。
醸造酒に比べて酔いにくい (?)
一般的に蒸留酒の方が醸造酒と比べて不純物が少ないため、悪酔いしないと言われています。
実際には蒸留酒の方が酔いにくいという科学的根拠はないようなので、ビールやワインといった醸造酒はスルスル飲めてしまうため悪酔いしてしまうだけかもしませんが。笑
私の体感ですが、ワインや日本酒を飲むと頭が痛くなったりと悪酔いしがちですが、ウイスキーなどの蒸留酒を飲む時はそこまで悪酔いしたことがありませんね。
まとめ
本記事をまとめます。
蒸留酒とは、醸造酒などのアルコールを含む液体を蒸留して作ったお酒ですが、2種類の蒸留法があります。
- 単式蒸留 : 蒸留する度に原料(醪などのアルコール発酵した液体)を蒸留釜に入れ、一度だけ蒸溜を行う方法
→ 一度の蒸留ではアルコール度数が低く、原料の風味を残すことが出来るのが特徴 - 連続式蒸留 : 原料と蒸気を連続的に供給することで高濃度のアルコールを得ることが出来る方法
→ 原料の風味はあまり残さずに、効率よくアルコール度数の高いお酒を造ることが出来るのが特徴
お酒の世界は本当に奥が深いですが、蒸留酒の基本的な知識を学んでより充実したお酒ライフを楽しみましょう!
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